高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



カラオケ店からいち早く退散しようと試みる二階堂薫達が、泥酔状態の光村教頭の視界に入り呼び止められた。


「にいちゃん!こいつ!こいつがワシにぼうきょうを加えたんだぁっ」


虚ろな目でフラフラと焦点が定まらない指で指したのは、二階堂薫ではなく“日比谷尚輝”であった。


このトラブルに関しては全く自分に非がないどころか無関係と言い切れる日比谷尚輝は、瞳孔が開ききるぐらい驚き固まる。


「……え、ちが」


他のクラスメイトが光村に日比谷尚輝ではないと否定しようとするのを防ぐように、二階堂薫は口を挟んだ。


「お、俺帰るわ、明日早いし。あとは勝手にやってくれ」


「……な」


二階堂薫は自分に火の粉が掛からないうちに、加害者を勘違いさせ日比谷尚輝に責任を押し付け帰っていった。


余りに堂々としたなすりつけに、周りのクラスメイトらも日比谷尚輝の無実の証言をせず見捨て帰った。


日比谷尚輝だけが警察が来るまでカラオケ店に残された。


< 75 / 210 >

この作品をシェア

pagetop