LOST MUSIC〜消えない残像〜
「……翠月ちゃん、中間の結果悪かったのかな?あたしなんかダメダメで憂鬱だよ」
千秋のまったく憂鬱には聞こえない笑い声が響いて、俺は我に返った。
何で俺が、錫代のこと気にすんだよ……。
俺はすぐに馬鹿な考えを振り払った。
「別に勉強なんかできなくてもいいだろ。俺等にはバンドがある」
すると、雅臣は何の戸惑いもなく、思いを言葉にする。
遥か高みを見つめる一点の曇りもない瞳。
淀んだ空気をもぴんと引き締めさせるはりのある声。
「俺等、Stellarは絶対に、デビューすんだからな――」
一切の迷いのない固い決意は、夢は叶うと信じて疑わない子供のようだった。
それはまるで、かつての俺のよう……。