LOST MUSIC〜消えない残像〜


俺もあんな汚れを知らない瞳をして、無邪気にこいつらと夢見てたんだ。


それは中一の時のこと――。


楽器を始めたばかりの俺等は、今じゃ笑えるぐらい下手だった。


俺なんか一目惚れしたストラトをおふくろに土下座して買ってもらって、馬鹿みたいに毎日しがみ付いてたっけ。


他の奴等もまだまともに音が出せないくせに、子供みたいにはしゃいでたのをよく覚えてる。


そう、あの頃は何でも、願えば叶うと思ってた――。


今思えば、それがどんなに子供じみていて、どんなに傲慢な願いだったか、考えなくてもわかる。


でも、それでも、あの頃の俺等は羨ましいくらいに輝いてた……。



< 101 / 299 >

この作品をシェア

pagetop