LOST MUSIC〜消えない残像〜

ベガとアルタイル



――懐かしい声が風にのってやってくる。


「きれいだね」


その声のもとへと視線を移せば、そこには一人の少女が立っていた。


木に寄り掛かり、星々の明かりに青白く照らされた星羅の姿。


満足そうな笑顔を浮かべる彼女の視線の先には、無数の星に形作られた煌めく川が――。


……そう、夜空に浮かび上がる幻想的な天の川――。


まるで、幻を見ているようだ。


星羅はそんな光景を飽きることなくうっとりと見上げている。


すると、ふと俺に笑顔を見せた。


「きっと、奏斗とだからこんなに綺麗なんだね」



< 109 / 299 >

この作品をシェア

pagetop