LOST MUSIC〜消えない残像〜


星羅は天の川を瞳にうつして、生き生きとした笑顔を浮かべている。


「天の川をはさんである星。あれがこと座のベガ、織姫星。そしてあれがわし座のアルタイル、彦星よ」


隣で声を弾ませながら、本当に楽しそうに語る星羅。


こんな星羅を見られるのも俺だけなのだろうか――。


この幸せそうな笑顔を見ているとふと思うんだ。


欲張りかもしれないけど、この笑顔は、俺だけに向けてほしいって――。


ついそんなことを願ってしまう俺は馬鹿だなって思う。


きっと星に夢中な星羅は、俺がそう思ってることも、こんな風に見惚れていることも知らないだろうけどな。



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