LOST MUSIC〜消えない残像〜
俺が火照った顔を冷ますように空を仰ぐと、淡く甘い香りが流れてきた。
きっとこれは星羅の香り――。
星羅はまるで空から舞い降りてきたように、俺のすぐ隣にふわりと腰を下ろす。
「何回見られるか分からないけど、毎年一緒に来ようね、奏斗――」
左耳から伝わる透明感のある流れるような声。
そして、折れてしまいそうに細い腕が遠慮がちに俺の腕に絡み付く。
――想像以上に華奢で怖くなるけど、そんな星羅を守りたいって思った。
だってもう、俺の心は星羅に占領されてるんだから。
「あぁ、爺さん婆さんになってもな」
だから、俺はこの丘で星羅と永遠の約束をした――。