LOST MUSIC〜消えない残像〜


ベガとアルタイルに誓ったあの七夕の夜の二人の約束。


なのに、星羅はいつになっても来はしない。


俺は約束を守ってるのに、何で星羅は会いに来ねぇんだよ……?


胸に押し寄せるのは、虚しさと悔しさだけ。


そんな感情が大きな波となり、これでもかと俺をおそう。


もうどれだけ探しても、俺の隣にはいない……。


あの甘い香りも、あの小さな手も……。


俺はやり場のない想いをぶつけるように、強く地面に拳を叩きつけた。


でも、この想いは塵一つ程も消えることはなくて、残ったのは現実を突き付ける拳の鈍い痛みだった――。



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