LOST MUSIC〜消えない残像〜
全てを諦めた六等星
――ぎらついた夏の太陽が、白く無機質な校舎内の気温を高めていた。
窓越しでも肌を焦がすほどの日差しの強さに、嫌気がさす俺。
クラスの奴らは皆、夏休みという青春のイベントに浮き足立ち、更に気温をあげている気がした。
何が夏休みだ……。
真っ青な空の真ん中で、どんな光よりも強く地上を照らす壮大な光の塊。
……俺の嫌いな夏の太陽。
その光は、目を背けたいものをも、容赦なく、明確に浮き彫りにする。
そう、それは残酷なまでに――。
「奏斗せんぱ〜い!」
その時、感傷に浸っていた俺を引き戻すように、鈴のような声が響いた。