LOST MUSIC〜消えない残像〜


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「補習も免れたし、夏休みエンジョイするぞぉ!あたしが数学の補習免れるなんて奇跡なんだから!」


部室もやっぱりクラスとあまり変わらない。


千秋はぺちゃんこな胸を張って、馬鹿らしいことを自慢げに話している。


「よかったな、千秋」


「まあ、千秋に補習があったって、俺等だけで楽しむけどな」


ふっと笑みをもらす智也に、面白がってからかう雅臣。

そして雅臣に拗ねて頬を膨らませながらも嬉しさが滲み出る千秋。


その姿は何故か煌めいて、そしてどこか遠くに見えた……。


まるで、違う世界に住む人間のように――。



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