LOST MUSIC〜消えない残像〜


すると、千秋がそんな気持ちを隠すように、パチンと元気よく手を合わす。


「あ、てなわけでさ、我が軽音部、なんか夏休みやろうよ!翠月ちゃんも学祭ライブに備えなきゃだし」


夏休み……、学祭ライブ……。


全部俺には他人事だ――。


「そういえば、兄貴のダチがバイトしてるとこで、練習用のスタジオの料金安くしてくれるらしいぞ」


生き生きとした瞳でそう言う雅臣をますます遠くに感じた。


あんな情熱を持っていた時が俺にもあっただろうか?


……もう見ているものも立っている場所も違いすぎるんだろうな……。



< 130 / 299 >

この作品をシェア

pagetop