LOST MUSIC〜消えない残像〜
すると、千秋がそんな気持ちを隠すように、パチンと元気よく手を合わす。
「あ、てなわけでさ、我が軽音部、なんか夏休みやろうよ!翠月ちゃんも学祭ライブに備えなきゃだし」
夏休み……、学祭ライブ……。
全部俺には他人事だ――。
「そういえば、兄貴のダチがバイトしてるとこで、練習用のスタジオの料金安くしてくれるらしいぞ」
生き生きとした瞳でそう言う雅臣をますます遠くに感じた。
あんな情熱を持っていた時が俺にもあっただろうか?
……もう見ているものも立っている場所も違いすぎるんだろうな……。