LOST MUSIC〜消えない残像〜


俺の頑なな答えに、重い静けさがのしかかる。


――本来、音に溢れるべき場所に流れる、無音の時間――。


でも、この沈黙よりも、力なく俯く錫代に息苦しくなるんだ――。


それは、その姿が星羅に見えるから……。


虫が良すぎることは自分でも分かってる。


自分の気持ちに嘘はつけないくせに、星羅に似た姿が肩を落とすのは見ていられない。


ほら、俺の中にはこんな我が儘ばかり。


俺は誰も笑顔にできやしないんだ。


いつも隣にいたかけがえのない存在さえも、笑顔にはできなかった。


それどころか、悲しませてしまったのだから……。



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