LOST MUSIC〜消えない残像〜


「Stellarの……、私の一番好きな曲……。こんな素敵な曲、私できません」


錫代の声は真剣そのもので、この曲への強い想いがひしひしと伝わってくる。


何で、関係ない他人が大事に想うのだろう……?


もちろん、Stellarにとって『六等星』は、特別な曲だ。


“特別”なんて言葉じゃ不十分なほど、あの日々の俺等の全てが詰まってる。


でも、他人から見れば、ちっぽけな素人軽音部の曲にすぎないだろ――。


なのに、錫代はちっぽけな高校生バンドのスコアという名の紙切れを、宝物のように握っている。


そっと触れる指先からは愛しさが溢れているようにも見えた。



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