LOST MUSIC〜消えない残像〜
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「よろしくお願いします、奏斗先輩!」
ギターを抱えすっかり準備を整えた錫代はやる気に満ちている。
「……あ、ああ」
熱意に負けてつい返事をしてしまった俺。
だが、果たして『六等星』を歌う資格もない俺が、教えてもいいのだろうか……?
……よくないに決まってる。
こんな堕ちていった俺が汚していい曲じゃない。
でも、分かってるけど、そんな最低なことをしてでも逃げたいんだ。
Stellarという失われた夢から、星羅のいない現実から――。
そう、部外者の錫代に押し付けてでも……。