LOST MUSIC〜消えない残像〜
純粋な錫代には、俺の黒く渦巻いた感情なんか知る由もないだろう。
だって、『六等星』のスコアを飽きることなく見つめる瞳は、曇りのないビー玉のように輝き続けているのだから。
すると、錫代はある場所に目を止め、小さく声を盛らした。
「この曲、奏斗先輩と立花星羅さんって方が作ったんですね。すごいなぁ。星羅さんにも会ってみたいな」
俺は胸の奥が痛みだして、押し黙った。
錫代の無邪気な言葉たちがナイフのように心に突き刺さる。
『六等星』は星羅が書いた詩に、俺が曲を付けたんだ……。
デビューを夢見る小さな俺等に、星羅が願いを込めて贈ってくれたこの世で一つの詩。
きっと今の俺なんかより錫代の方が相応しい……。