LOST MUSIC〜消えない残像〜
月は隠れて涙する
――じんわりと汗をにじませる額。
湿度は高く室内はじっとりと暑い。
そんな中、夏休みの課題に疲れた俺は、自分のベッドに無気力に寝転んでいた。
自分の腕を額に乗せて瞼をゆっくり閉じれば、聴覚が敏感になっていく。
そして、明瞭に耳に流れ込むのは、不規則に刻まれる自然のリズム。
――屋根を叩く雨音だ。
今朝から絶え間なく続いている。
ただ一粒一粒が空から落とされ偶然奏でられた音色に、なぜ人は切なくなるんだろう。
耳に残って消えない雨音は、俺の心に暗い染みを広げていく……。