LOST MUSIC〜消えない残像〜
微かに月明かりを受け、青白くなった無数の欠片たち。
もうすぐこの欠片たちも終わりがくるはずだ……。
心の中で予言した刹那、丘を通り抜けただけの風に、いとも簡単に命を終わらせられる。
ほんの瞬きほどの間に、一斉に最期を迎えたちっぽけな欠片の数々。
それはいとも簡単に闇へと飲み込まれていった――。
人生なんて呆気なくつまらないものだとわかっているつもりなのに、息苦しく胸に突っ掛かるような感覚がするのは何故なのか……。
俺はこのやり場のない想いをぶつけるように、桜木の幹を拳で叩く。