LOST MUSIC〜消えない残像〜
少し大人びた錫代の背中は、必死に震えをおさえているようだった。
でも同時に、窓の前にあるその背中は、やっぱりまだ幼くて、怯える子供のようにも見える……。
「何で、できの悪い私が残っちゃったのかな……?だから親のためにも頑張ったけど、何一つお姉ちゃんのようにはできなくて」
錫代の声はどんどん弱くなっていく。
「やっとギターを、自分のやりたいこと見つけたのに、それも全然ダメで……」
もう語尾は、雨音に掻き消されそうだった。
何でそこまで頑張れるのかわからない。
涙を、弱さを、崩れそうなほど隠し耐えるなんて――。