LOST MUSIC〜消えない残像〜


俺はシャープペンを力なく置くと、ため息とともに椅子に深く身を委ねた。


星羅のことを思い出すだけで、今も胸が苦しくて仕方ない……。


そして何故か、弱々しい笑顔を浮かべた星羅が、あの雨の夜の錫代に重なっていく――。


どうしてもあの日の壊れそうな錫代が心に引っ掛かってとれないんだ。


すると突然、机の上でケータイが震えだし、確認すれば智也からの電話だった。


「今、暇か?たまにはうちに遊びに来いよ。」


「いや、いいって」


「昼飯も作るし、たまにはいいだろ。待ってるからな」


俺に有無を言わさず電話を切る智也。


相変わらず、オカンみたいだな、智也は。



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