LOST MUSIC〜消えない残像〜


ゆっくりと目をあければ、あたたかな陽だまりに包まれた、遠く幼き日々の俺等がよみがえる――。


「そういえば、あの頃は踏み台使って料理してたよね。可愛かったな、智也」


千秋は楽しそうにけらけら笑う。


ガキのくせに、俺等なら何でもできるとか、あの頃は信じてたんだっけな?


でも、みんな変わったよ、俺自身も……。


智也なんかこんなにイカツイ見た目になって、子供の頃の姿と重ねれば、つい小さく笑ってしまう。


「むっ、昔のことだろぉ!二人とも笑うなよ……」


智也は後ろ姿しか見えないけど、フライパンをかえすのを失敗し慌てて動揺しすぎだ。



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