LOST MUSIC〜消えない残像〜
息を切らして入ってきた雅臣から、一瞬にして笑顔が消え去った。
――そして、音をたてるように視線がぶつかり合う。
足を止め顔を歪める雅臣に、目を逸らす俺――。
「……何で奏斗までいるんだよ?」
どこまでも低い声が室内に響いた。
そして、ぴんと糸を張ったように、緊張感に満ちる。
「俺は……許した覚えはねぇぞ」
しっかり俺を見据え、拳に力をこめる雅臣。
静かで深い怒りがひしひしと伝わってくる。
「錫代に教えるのはどうだっていい。でもな、こんな意気地なし、俺は許してねぇからな――!」