LOST MUSIC〜消えない残像〜
鍵をかけた想いは
――空はあたり一面真っ青でアスファルトには太陽が焼き焦がすように照りつけている。
俺はおふくろに買い物をおしつけられて、仕方なく炎天下のもとを歩いていた。
あまりの暑さに頭がぼーっとしてくれば、つい昨日の智也の姿を思い出す――。
俺は慰めの言葉一つかけられなかったのに、智也は笑ってみせたんだ。
「カッコ悪いよな、俺。ずっと黙ってようと思ったのに」
壁に寄り掛かったまま、いたって明るく振る舞う智也。
眉を下げて困ったように崩された表情に、俺の胸まで苦しくなった。
「俺は本当にダメだなぁ。あ、奏斗は心配しないで、忘れてくれよ」