LOST MUSIC〜消えない残像〜
「わざわざ探しに来ないでよ……」
涙声でつっけんどんに言う千秋。
本当に可愛くねぇ。
探すっていったって、こんなの探すうちにも入らない。
昔から、かくれんぼをすれば一番に見つかるのは千秋だった。
何故なら、馬鹿みたいにここにばかり隠れるからだ――。
「いつまでそうしてんだよ?」
俺はその大木に背を預けると、揺れる葉を見上げて大きく息をはきだす。
「だって、……どうしていいか……分かんないんだもん」
千秋は顔を膝に埋めて、消え入りそうな声で呟いた。