LOST MUSIC〜消えない残像〜


錫代の黒い瞳は鏡みたいだ。


俺の孤独への怯えをそのまま映しているよう……。


だからその瞳から逃げて、そっぽを向くと、俺は話題を変えた。


「……なぁ、話したのか?」


「へっ、何を、ですか?」


何を言いたいのか分からないようで、錫代から発せられたのはすっとんきょうな声だった。


だから、俺は結んだ重い口を開いて、錫代に言う……。


「この間話したことを、親にだよ……。錫代の気持ちをだ――」


錫代の表情からはみるみるうちに笑顔が消えて、傾きかけた日差しによって影ができた――。



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