LOST MUSIC〜消えない残像〜


その刹那、後ろから思い切りどつかれて、俺はよろめいた。


「夏休み明けだからってぼさっとしてるんじゃないわよ、奏斗!」


振り返ればそこには、得意げに腕組みする千秋が。


この間泣いてた奴だなんて思えなくて、呆れてくる。


「おはよっ、智也」


智也にはにっこり話し掛けてるし……。


「待ちに待った学祭の季節の到来よ!!ライブ頑張るぞ、オー!!」


千秋は拳を突き上げて一人喧しくはしゃぎ、嵐のように俺等を追い越していった。


「うるせぇ奴……」


俺がそうぼそりと呟いた瞬間、智也はふっと笑う。



< 188 / 299 >

この作品をシェア

pagetop