LOST MUSIC〜消えない残像〜
その刹那、後ろから思い切りどつかれて、俺はよろめいた。
「夏休み明けだからってぼさっとしてるんじゃないわよ、奏斗!」
振り返ればそこには、得意げに腕組みする千秋が。
この間泣いてた奴だなんて思えなくて、呆れてくる。
「おはよっ、智也」
智也にはにっこり話し掛けてるし……。
「待ちに待った学祭の季節の到来よ!!ライブ頑張るぞ、オー!!」
千秋は拳を突き上げて一人喧しくはしゃぎ、嵐のように俺等を追い越していった。
「うるせぇ奴……」
俺がそうぼそりと呟いた瞬間、智也はふっと笑う。