LOST MUSIC〜消えない残像〜
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乱雑に荷物を詰めた鞄を肩に掛けると、生徒達の間を縫って早々に廊下に出た。
廊下の窓から照りつける昼の太陽は、まだ眩しく、夏を感じさせる。
そして、クラスの中の生徒の笑い声は、フィルターがかかったように霞んでいった。
廊下だって居場所があるわけではないが、放課後の予定をたて浮かれている連中の中にいるよりは、まだマシだ。
行きたくはないが、どちらにしろ夏休みが明けて初めての部室に行かなければならない。
まだ時間が早いことは気になったが、俺は重い足取りで部室に向かうことにした。