LOST MUSIC〜消えない残像〜
真っ白な扉を目の前にして、一つ大きなため息を吐く。
この扉を見るたび、責められているような気分になるんだ……。
俺なんかが入ってはいけないと――。
でも、微かに震える指に力を入れて、両手でおずおずと戸を開ける。
そこにはまだ誰一人おらず、眩しく輝く空間だけがあった。
光を綺麗に反射する褪せることを知らない真っ白な壁。
そして、光を受けて存在感を増し佇む、ドラムセット、キーボード、アンプ……。
俺は伸ばした手をだらりと下ろした。
手の届く距離にあるのに俺には触れられない。
いくら伸ばしても、過去の俺等のように遠く感じたから……。