LOST MUSIC〜消えない残像〜
なんだか目頭があつくなる。
自分でこの道を選んだくせに、あの日々を懐かしむなんて、ふざけた話だ。
もう過去に変わって、戻るわけもないのに……。
そのことをはっきり物語っているのが、このソファーだ。
楽器たちの目の前に置かれた特等席。
――そう、星羅の指定席だった。
初めて腰を下ろした俺は、星羅が見ていた景色を見渡した。
でも、星羅が好きと言ったStellarの姿は、もう見る影もない。
もし、ここに残っているものがあるとすれば、それはただ一つ。
――あの日死んだ、俺の心の残骸だけだ――。