LOST MUSIC〜消えない残像〜
「お前が一番乗りだなんて、どういう風の吹き回しだよ?」
背後から近づく刺々しい声は、振り向かなくとも誰だか分かる。
「たまたまだ。来たくて来てるわけじゃない」
視線を上に移せば、予想通り薄笑いを浮かべた雅臣が見下ろしていた。
「じゃあ聞くが、何でそこに座ってる?」
笑みの消えた雅臣から聞こえたのは、感情の見えない冷えきった声。
俺はまるでその声に凍らされたように言葉が出てこなかった――。
でも、雅臣は高笑いしながら続ける。
「俺は不幸ですみたいな顔して。いつまでそんな情けない生き方すんだよ?」