LOST MUSIC〜消えない残像〜
強い者には一生、弱い者の気持ちなんて分かりゃしないんだ。
大切なものが消えかかる恐ろしさなんて――。
「それは、こっちの台詞だ!星羅のこと分かっちゃいないのは、お前だろっ!」
「知ったような口きくな」
歯止めがきかなくなった俺は、怒りにまかせて雅臣と取っ組み合う。
一歩だって引きたくない。
雅臣なんかに負けたくない。
消え去った友情の跡にあるのは、醜い感情、ただそれだけ。
自分の愚かさなんて分かってる。
でも、これで負けたらもっと惨めになるじゃんか……。