LOST MUSIC〜消えない残像〜


だから、昔の親友とこんな関係になろうとも、俺はもう何とも思わない。


星羅がいなけりゃ、こんな脆い絆どうだっていい――。


「あぁ、そうかよ。じゃあ、お前から一度だって星羅に“好きだ”って言ったことあんのかよ?」


雅臣はより一層、手に力を加えると、必死に押さえ付けたような声で問いただす。


胸に鈍い痛みが駆け巡る――。


時間が止まったように静止する俺等とのしかかる空気。


「最期だって……一緒にいてやらなかったろ――」


目の前で、苦し気に雅臣の顔が歪む。


「雅臣には……俺の苦しさなんて分かんねぇよ」



< 197 / 299 >

この作品をシェア

pagetop