LOST MUSIC〜消えない残像〜
俺は震える声をどうにか絞りだし、俯いた。
雅臣の言ってることは、全部正しい。
でも、人間は、俺は臆病なんだよ……。
「苦しいのは俺も同じだ」
雅臣の低い声と共に、一粒の雫が一直線に床へ落ちていった。
「星羅は、ガキの頃からあんなにお前を好きだったのにっ――。お前より俺の方が星羅を好きだった――」
突然のことに頭が真っ白になる。
未だのみこめない言葉が宙を舞って、俺は何も言葉にできない。
ただ、雅臣の濡れた憎しみの瞳にうつる俺は、汚れ、酷く小さく見えた。