LOST MUSIC〜消えない残像〜
「でも、俺はお前とは違う。お前みたいな腰抜けとはな――!」
迷いなく放たれた言葉と突き飛ばされた情けない俺。
雅臣は軽蔑の眼差しを俺に突き刺すと、大きな靴音を鳴らし飛び出していった。
絞めあげられた首よりも、胸の方がずっと痛い。
心の中の傷がぱっくり開いて痛みを増す。
情けなくて、卑怯で、臆病なこんな自分、誰よりも俺自身が嫌いなんだ――。
部室の前で、泣き崩れる千秋も、それを慰める智也も、立ちすくむ錫代も、今はただ遠くにうつる。
そして、頭の中を雅臣の言葉で支配されながら、ここを離れたいという一心でその場を去ったのだった。