LOST MUSIC〜消えない残像〜

夜空に広がる苦い記憶



――何でいつも、ここに辿り着いてしまうのだろう。


霞みきった俺の瞳にうつるのは、のまれそうな漆黒の空。


そして、空にうち上げられた星座は、愚かな俺を嘲笑うように見下ろしている。


あれから俺は、現実から、この世の中から解放されたくて彷徨った。


この苦い想いの染み付いた狭い街で、自由になるための出口をさがして……。


でも、そんなものありはしない。


街を出ることも、事実に向き合うこともできない情けない奴に、そんなもの用意されているはずがない。


結局、勇気のない弱い俺は苦い記憶があったとしても、ここに辿り着く。


俺の唯一の居場所、美星丘だ――。



< 200 / 299 >

この作品をシェア

pagetop