LOST MUSIC〜消えない残像〜
「よかった――。ずっと探してたんです」
錫代の姿に一瞬目を見張り、すぐに唇を噛み締めた。
俺なんか、放っておけばいいのに。
なんだか余計に情けなくなる……。
だから、俺は俯いて無視した。
「星、綺麗ですね」
なのに、錫代はそんなのものともせず、俺の隣にそっと腰を下ろす。
すると、優しく甘い桜のような香りがふわりと舞った。
何故か懐かしく感じる……。
「星羅さん――ステキな人なんでしょうね。詩を読んで、憧れちゃいました」
ふと、横を見れば、錫代は水晶みたいな瞳に夜空の星々をキラキラとうつしていた。