LOST MUSIC〜消えない残像〜
星羅の命がもう危ない――。
星羅のおふくろさんからの電話に、夜更けの道を全速力で駆け出した。
固いアスファルトを靴ひもを引きずりながら、何度も何度も蹴った。
そんなの嘘だ。
星羅が死ぬわけない。
今にも折れそうな自分に、強く言い聞かす。
早く星羅のもとに行きたいのに、意地悪なほどに道程は長く感じられた。
お願いだから、無事でいてくれ、星羅。
星羅がいなくなったら、俺はどうすればいいんだよ……。
その時、涙で視界が歪んで足がもつれた――。