LOST MUSIC〜消えない残像〜
すぐに駆け出したいのに、ちっとも足が動かない。
動けよ、動けよ馬鹿――!
幾度も憎らしい足を殴り付ける。
星羅が危ないのに、動けない自分が恨めしくて、声にならない声で泣き叫んだ。
足は、星羅が消えかかる恐怖に震え、まるで石のように固まり地面に貼りついて離れない。
怖くて怖くて力も入らない。
星羅が死ぬなんて嫌だ……。
そんな現実見たくない。
俺は怖気づいて蹲る。
星羅がどれだけ大切な存在で、そして失うことの怖さを知った。
所詮俺は、現実から逃げて、自分弱さに負けたんだ。
情けない卑怯な奴なんだ――。