LOST MUSIC〜消えない残像〜


―――――――
――――

時を刻む秒針の音だけが、この空間を支配する。


息をするのも苦しいこの空間に、ソファーに座った俺は足元だけを見つめてただ耐えていた。


「もうこんなやる気のないやつ連れてこなくていいぞ、千秋」


氷みたいに冷たい雅臣の声が俺の丸めた背中に突き刺さる。


「……だけど、雅臣……」


そして、そんな雅臣の声にいつも萎れた声を出す千秋。


ほら、やっぱり俺はここにいるのに相応しい人間じゃないんだよ――。


「心配すんな。新入りが来れば、無理に連れてこられることもなくなるだろ」



< 21 / 299 >

この作品をシェア

pagetop