LOST MUSIC〜消えない残像〜
……やっと病室に着いた時、もう星羅は冷たくなっていた。
全ての医療機器を外され、綺麗な顔をしてる星羅が横たわっている。
少しやつれてはいるものの、入院中で一番やわらかい表情を浮かべてる。
――きっと眠ってるだけだ。
本を読みながら、星羅は俺に寄り掛かってよく気持ちよさそうにうたた寝してた。
今回だってそうだ。
“遅いんだから、奏斗は”って笑って言うに決まってる……。
だって、まだ夢も叶えてないのに、負けず嫌いな星羅が死ぬわけないだろ――。
俺はただそう信じてベッドのそばを離れなかった。