LOST MUSIC〜消えない残像〜
「出ていけ」
頭上で抑えた声がする。
「さっさと星羅の前から失せろっ」
突然胸ぐらを掴んだ雅臣は、放り投げるように俺を病室から追い出した。
「何すんだよ!星羅は、星羅は……また目を覚ます」
「目を覚ますのはお前の方だ!」
雅臣の声が大きく轟き、左の頬に激痛が走って俺はそのまま崩れていく。
「星羅がどんなにお前待ってたと思う」
俺を殴った拳を握り締め、雅臣は決して許さないと言わんばかりに厳しい瞳を向ける。
「星羅はな、最期までお前のこと信じて待ってたんだぞ。――お前なんか、星羅に会う資格はない」
そうして雅臣の言葉だけを残し、扉は閉ざされた。