LOST MUSIC〜消えない残像〜


雅臣は、あんなにも星羅を想ってる――。


今だって、胸はって夢を追って生きてる。


それに比べて、俺は星羅に恥ずかしい生き方しかしていない。


後ろを向いて、ただ日々をやり過ごして、人生なんてどうでもいいと捨てて……。


「全部俺が切り離しちまった……。大好きな星羅も、親友の雅臣も」


俺は立てた膝の間に深く顔を埋めた。


離したものはもう戻らない。


自らしたのだから、自業自得だ。


「奏斗先輩――。私に言ったこと覚えてますか?」


その刹那、言の葉がメロディのようにやわらかに、耳に舞い込んできた――。



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