LOST MUSIC〜消えない残像〜
俺は言葉もなく、意識が空気に漂うような不思議な感覚におちいった。
「忘れ去られないかぎり、私達の胸に、生き続けてるんです。星羅さんも、お姉ちゃんも」
フレーズ一つ一つを、錫代は大切に紡いでいく。
まるでそれは言葉というより、想いの欠片――。
一つだって取り落とさないよう、一つだって壊さないよう、言の葉になった想いの欠片は、心にあたたかく広がった。
やがて錫代は果てしなく続く夜空に語り掛けるようにこう言う。
「お姉ちゃんが、見てるから、私は頑張らなくちゃ――」
まだ少し幼い小さな錫代は、何故か強く見えた。
弱さも悲しみさえも錫代の一部になって輝いてる――。