LOST MUSIC〜消えない残像〜
まだ力の入らない手で枕元を探ると、いつものようにケータイを手に取った。
日課として染み付いた俺の指は、無意識のうちに“Vega”の、星羅のケータイ小説のページを開いていく。
そして、毎日、自分に現実をみせる。
これを見ると、目が覚めるんだ。
……電池の切れた時計のように進むことを知らない最終更新日。
この日にちはもう変わることはないのに、毎日繰り返してる。
もうすぐ一年経つっていうのに、こんなことして情けない。
雅臣のことを思い出せば尚更だ。
自分がどんなに臆病な人間かよく痛感した……。