LOST MUSIC〜消えない残像〜
だから、俺はいられなくなってそのまま家を飛び出した。
真っ白な頭で足の動くままにアスファルトの上を突き進む。
まるで俺を取り残すように、車や自転車が俺を追い越していったが、無我夢中で我が道を歩き続けた。
こんな情けない自分大嫌いだ。
頬よりも心がずきずきと痛む。
普段穏やかなのに、親父には大切な人を守れる大きな強さがある。
それに比べて、俺は何だよ……。
大切な星羅にさえ何もしてやれなかった。
……俺は人を傷つけるだけ。
さっきだって、おふくろにやり場のない想いをぶつけた。
自分への苛立ちなのに……。