LOST MUSIC〜消えない残像〜
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昇降口で靴が床に落ちるかわいた音が、虚しく響く。
今日も一日が終わるのだ。
靴をはきかえて校舎から出れば、教室から何時間見たか分からない空が広がっている。
俺は授業なんて上の空で、窓という額縁からいくつもの雲を見送った。
実際に空の真下で見上げると、澄んだ青い空を時の経過を感じさせるように、雲が確実にゆっくりと泳いでいる。
気付けば夏の照りつけるような暑さは和らいで、少し秋の風がまじり始めた気がした。
肺に秋の空気が入り込んで、胸は鉛が入ったように重くなる。
秋なんか大嫌いだ――。