LOST MUSIC〜消えない残像〜


刺すように冷たくなっていく風。


命を燃やす葉達。


長くなっていく夜という名の闇。


そんな秋が訪れる。


……星羅を亡くした季節が。


もうあれから四つの季節がめぐった。


星羅のいない世界で、俺は一年も生きてしまったんだ――。


「おや、奏斗君。どうしたのかな?」


微塵の心配さも感じさせない浮ついた声が聞こえれば、頬を指で突かれた。


「何だよ、千秋」


振り返った所には千秋がいて、歯を見せて笑い俺をからかっている。


「たまには一緒に帰ってやろうかと思ってさ。さあ、帰るよ、奏斗!」



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