LOST MUSIC〜消えない残像〜
死んだ魚の目って……。
まあ、俺なんてそんなもんか。
そう悟りつつ、ガキみたいに縁石の上をふらふらと歩く千秋を横目に、俺は距離をおいて歩いた。
「ホント、奏斗はヘタレだなぁ。そうやって、雅臣のことずっと引きずってんだ?」
千秋は変わらぬ明るい声音で、平然と核心を突いてくる。
「別に」
俺は吐き捨てるように言って俯いた。
足元にはアスファルトから雑草が頭を出していて、ゆっくり足を退ける。
俺よりこの雑草の方がよっぽど強く見えたんだ。
すると千秋が縁石をおりて真顔でこう言い放った。
「奏斗、あんたが引きずるなんて大間違いだよ――」