LOST MUSIC〜消えない残像〜
その背中に、どうやってそんな長い歳月の苦い想いを背負うのだろう――。
俺はきっと逃げ出す。
そんな重みには耐えられない。
「何でだよ……。俺にかまわず言えばよかったんだ」
雅臣がそうしていたら、少なくとも星羅は安らかに最期を迎えられたはず……。
「言えるわけないでしょ、あの雅臣が。親友のあんたにも、あんたを好きな星羅にも、傷つけるようなことはできない――。お人好しなの」
自分がより一層惨めにみえた。
俺は何一つ分かってない馬鹿だと……。
千秋は誰より一番雅臣を知っているはずだから、余計にその言葉たちに重みが増す。