LOST MUSIC〜消えない残像〜
「痛っ――!!あっ、キャッ!!」
戸の向こうから聞こえた意味不明な女の子らしき声と慌ただしい雑音。
俺は何者かと訝しく思い眉根をよせた。
――何してんだ……?
全員がその正体が気になり、戸には4人の視線が集中していた。
そしていよいよ開いた戸に全員が目を見張る。
「遅れて申し訳ありません!」
栗色の長い髪を振り乱し、全身で頭を下げると額をおさえながら顔を上げた――。
――え……。
――そんな馬鹿な……。
時間が止まった、いや、時間が巻き戻ったのか。
俺は息をすることも忘れるくらい、その少女に釘付けになった――。