LOST MUSIC〜消えない残像〜
どっしりとその言葉がのしかかって、俺の足は止まる。
つくづく自分が腑甲斐なくて、前に進む力もない。
「でも雅臣は、前向いてるよ。星羅の分もあたしらは頑張んなきゃ」
千秋は地に足をしっかりとつけて、迷いなく言った。
「だから私、雅臣に告ってフラれにいった。やっと初恋終わりにできたよ」
そうして千秋は傾いた太陽の下、とびきりの笑顔を見せる。
そこには痛みなどなくて、金色に光るなびく髪も、子供みたいな笑い顔も、眩しいくらいに輝いていた。
余分な感情を全て削がれ、磨かれた自身の輝きを放つ宝石のように――。