LOST MUSIC〜消えない残像〜
「だってさ、後ろ向いてたら、星羅に笑われるでしょ」
千秋の笑い声にまた、胸がちくりと痛む。
どうやって前を向けばいいのか俺には分からないから……。
星羅との記憶は一つだって捨てられるものはないし、情けない想いさえも消せはしない。
たとえ、それらを削り、宝石のように輝けるとしても――。
俺はしがみついてでも、失いたくないんだ。
「じゃあ、そろそろあたし帰るわ」
千秋は悪戯っ子のような笑みを見せると、俺にこの前貸したハンカチをふわりと投げ渡された。
「礼に、いいこと教えてあげる。今日の夜七時、Vegaのページにいってみな。じゃあね」
そして千秋は意味の分からない言葉を残し、去っていった――。